通信と情報のグローバル化にともない、輸送インフラが国際化するとイー・コマースが活性化します。国際市場では地域住民に合わせた情報提供が必要であり、文化的にもわかりやすい表現が求められます。
英語圏の市場規模
アジアの国々を中心に考えた場合、2016年時点で英語を正式な国語または事実上の国語としている国の人口は18.5億人です。これらの国の多くはアジアや中近東の発展途上国で人口成長率は年間1.6%です。中近東の国々を除くと人口は18.2億人となり、成長率はほぼ同じで年間2900万人増加します。中国本土の人口は13.9億人で成長率は0.5%、およそ670万人の年間人口増です。アジアの英語圏ではすべての人が英語を話すわけではありませんし、中国本土およびアジアの人口のうち購買層になるのは一部です。しかしアジアの英語圏市場はその人口と高い成長率を考えると中国本土に匹敵する重要な市場としてとらえることができます。またアジアの英語圏に英語を国語とする先進国を加えると約23億人もの規模になります。
機械翻訳の問題点
翻訳は情報をわかりやすくする手段のひとつですが、安価に使える機械翻訳には問題が生じる場合があります。たとえば”This operation is difficult to perform”を「この操作は難しい」と機械は翻訳することがあります。この訳や製品説明には適していますが、医療や軍事に関する記述の場合、誤りの可能性があります。長文やニュアンスを伝える場合、機械翻訳では正確ではない場合があります。短い文章の例でも「噛みえがある」を機械翻訳した場合、”I have a byte”が出力されることがあります。この訳は間違いで、”(Product) has firm chewiness”とするのが適切です。また「風味がよい」は”It tastes good(それはうまい)”と訳されますが”(Product) has good flavor”のほうが原文の意図をより忠実に表現しています。実際の日本語原稿には、長文が多い、ニュアンスが複雑、などの特性によって正確に翻訳しにくい文章が多々あります。
翻訳の精度が及ぼす影響
ぎこちない翻訳文では、製品の品質やこだわり、商品の特長などを十分に理解してもらうことはできません。また、情報の精度や豊かさが不十分な場合、販売者や製造者の市場に対する姿勢や積極性について購入者が誤った印象を抱くこともあります。これではせっかく良いものを作っても価値を低く見られてしまう可能性が高く、残念な状況になりかねません。
情報は正確に伝えることによって宣伝の効果が発揮され、コミュニケーションが効率よく行われます。一生懸命伝えようとしても誤解が生じることもあり、また間違いを修正するためにも労力を使います。正しく情報を伝えることが結果として早く、また良好な取引につながります。